BGPの基本を学ぶ ~インターネットの自律システム(AS)~

ネットワーク

BGP

BGPについて全然知らなかったのでBGPについて学んでみる。
が、そのBGPを学ぶ前にインターネットそのものの仕組みを知る必要がありました。
基本ダイジ。キホンダイジ。

BGPとは

BGPとはBorder Gateway Protocolの略であり、
インターネット上でASと呼ばれる範囲の間で経路情報をやり取りするプロトコル。
このAS内で経路をやり取りするのがIGP, AS間を担当するのがEGP(EGPs)と呼ばれる。
BGPはEGPに属し、現在使われているBGPはBGP version 4が多い。
BGPを学ぶ上で前提となる知識が必要になるので確認していく。

大きい範囲でのインターネット

普段インターネットを使う上で意識することは無いが、
インターネットには自律システム(Autonomous System)と呼ばれる単位が存在する。
この単位はASと呼ばれ、ISPなどの組織が所持しており、
ASは共通の運用ポリシーの元複数のルータで構成される。
また、ASには固有の識別番号が存在し、この番号はIANAがIPアドレスと同様に管理しており
日本ではAPNIC(RIR), JPNIC(NIR)が管理している。

下の図のように、AS間の通信をEGP, AS内での通信をIGPとして分類される。

  • EGP・・・EGP, BGP
  • IGP・・・OSPF, RIP, IGRP
上の例では行っていないが、iBGPはフルメッシュが多い?

AS番号

AS番号はインターネットで利用されるグローバルASと組織内でのみ利用されるプライベートASが存在する。当然外部にBGPを話すときはプライベートASの削除が必要。

グローバルAS番号:1 ~ 64511
プライベートAS番号:64512 ~ 65535

ASの技術外の要素

ASというのはネットワークの技術的な要素だけでなく、政治や金なども大きく関わる。
小さなASはインターネット全体にアクセスするために必要なフルルートを参照するため、
大きなASにお金を払う。このときトラフィック量による従量課金制がとられる。
この関係をトランジットと呼ぶ。

インターネット上全ての経路を所持していると莫大な数になってしまうため、
経路は上位のISP(AS)に集約されていく。この集約された全インターネットにアクセスできる
フルルートを所持し、お互いに経路を交換するピア関係にあるのがTier1。
また、地域などでお互いのメリットを考えつつピア接続することもある。


ASのタイプ

ASにも様々な形態があるが大きく3つに分類出来る。

スタブAS

スタブAS, 別名シングルホームASとは、
外のネットワークに出るための出口が一つしかないASのこと。
一つしか出口がないため経路の学習が必要なく、
スタティックルートやeBGPを用いる。
グローバルなASである必要がないことから、
プライベートASとIPアドレスを上位ISPから割り当ててもらうことも。

非トランジットAS(マルチホーム)

非トランジットASとは複数ASとの接続をしている中で、自分のAS内のルート情報のみをアドバタイズする。
右の図でいうと、ISP-AからアドバタイズされたIP-Aという情報はISP-Bにアドバタイズされることはない。
通常の企業はISPと違い、他にアドバタイズする必要がないためこの構成がとられる。

トランジットAS(マルチホーム)

トランジットASとは複数ASとの接続をしている中で、自分のAS内のルート情報と他のASから受信したルート情報をアドバタイズする。
右の図でいうと、ISP-AからアドバタイズされたIP-Aという情報はISP-Bにもアドバタイズされ、ISP-Bから得たIP-Bという情報はISP-Aにアドバタイズされる。

パブリックピアリング IX

ピアリングには2つのASが直接回線を接続するプライベートピアの他に、
1拠点に多数の回線が集中し、その拠点に低コストで接続するパブリックピアがある。
これはIX(Internet eXchange)と呼ばれ、ISP, IDC(データセンタ)の相互接続ポイントのこと。
これを利用することにより、上位のトランジット接続を経由することの無いトラフィックが増え、コストダウンが可能になる。
日本にもJPIX, JPNAP, BBIXなどのIXが存在する。

このように、インターネットというものは技術だけでなく、組織の規模や政治などが絡み、
ツリー構造となっていることがわかる。
国によってこの組織構造は異なってくるため、大規模ネットワークに携わる際にはどこにトラフィックを流すかが重要になりそう。

話が長くなってしまうので次回に続く。

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